無過失事故特約とは

特約解説

「無過失事故特約」とは、ざっくり言えば
あなたに責任のない事故であれば、車両保険を使用しても保険料は上がらないようにできる特約”です。
100対0の事故の被害者が使えます。
車両保険をつけている人がつけられる特約です。

「無過失事故特約」の対象になる事故

「無過失事故特約」が使える、100%被害の事故(もらい事故・完全被害事故)は主に下記の4種類です。

・相手車があなたの車に追突した
・相手車が駐停車中のあなたの車に衝突した
・相手車が赤信号無視してあなたの車に衝突した 
・対向車線を走っていた相手車がセンターラインオーバーしてあなたの車に衝突した 

「無過失事故特約」が使えるための条件

特約を適用するために必要な条件として下記が挙げられます。

・上の項目で記載した4種類の完全被害事故のどれかに該当し、かつ、保険会社が「あなたに事故の責任がない(相手が100%悪い)」と判断することが必要

・相手車や、相手運転者の情報が確認できなければならない
(当て逃げされて相手の情報が不明の場合などはこの特約は使えない)

・相手車は、あなたの車と所有者が別でなければいけない
(車を2台所有している人が、1台を運転している時にもう1台の自分の車に衝突した場合などは、この特約は使えない)
※支払条件の詳細はご加入の保険会社にお問い合わせください。

無過失事故特約のメリット・デメリット

メリット
・この特約を使用して保険金を受け取っても、ノーカウント事故扱いのため保険料が上がらない(通常は車両保険を使うと保険料は上がる)

・相手に支払能力がない時でも、速やかに自分の保険会社からお金がもらえる

デメリット
・なし

「無過失事故特約」が役立つ場面

通常、相手が100%悪い事故であれば、相手の保険会社が賠償してくれます。
ではこの特約はどんな時のために存在するのか。
それは、相手や相手保険会社から十分な支払いが受けられない状況になってしまった時のためです。

・相手が任意保険に加入しておらず、支払能力がない等で賠償してもらえない時
・相手の保険が何らかの理由で使えない時
・相手の保険会社から「全損(ぜんそん)、時価額での賠償になる」と言われた時

相手に支払能力がない時

支払能力がないというのは、相手が無保険で貯金もなく、あなたの車の修理費を払うことができないということです。

車両保険を使うことで修理費をまかなうことができます(車両保険金額限度)。

相手の保険が使えない時

例えば、相手の保険契約は26歳以上が運転できる契約だったにも関わらず、23歳の人が運転していた、などが考えられます。

車両保険を使うことで修理費をまかなうことができます(車両保険金額限度)。

相手保険から「全損」と言われた時

上の2つはわかりやすいですが、この場合はなぜ相手保険が介入しているのに自分の保険が関係するのか、と疑問に思いますよね。
主なメリットは2つあります。

自分の保険に連絡するメリット
・車両保険では分損になる可能性がある
・車両保険でも全損だとしても、もらえるお金が増える可能性がある

具体的に解説します。

車両保険で分損・免責0の場合

自己負担なく修理ができる
(車両保険から修理費全額受取り可能)

実は、「相手保険が算定するあなたの車の時価額<車両保険金額」となることが多いのです。
(絶対ではありません)
そのため、相手保険から見て全損でも、自分の車両保険から見ると分損(修理費<車両保険金額)になることがあります。
分損であれば修理費全額を車両保険から受け取ることができます。

車両保険で分損・免責ありの場合

自己負担なく修理ができる
・車両保険からは「修理費ー免責金額」を受取り可能
・相手保険側からは免責金額分を受取り可能

※車両保険で分損になりうる理由はすぐ上の項目「車両保険で分損・免責0の場合」を参照してください。

免責金額を設定している場合は、最終的には修理費全額を受け取ることができますが、修理費を負担する側がふた手に分かれます

あなたが車両保険を使用した場合、相手保険会社は時価額をあなたの保険会社に支払いますが(回収金)、免責があるときは、免責金額分は回収金の中からあなたに優先的に返されます。
つまり、あなたの保険会社の受け取り分が減るだけです。

車両保険で全損の場合

・相手保険が算定した時価額より多い金額がもらえる可能性あり
・全損時諸費用がもらえる可能性あり

「相手保険が算定するあなたの車の時価額<車両保険金額」となることが多いので、同じ全損でも、車両保険からもらえる金額の方が高い可能性がある、ということになります。

また、全損時諸費用がついていれば、「車両保険金額+全損時諸費用」を受け取れます。

無過失特約を使うと相手は賠償しないことになるの?

無過失特約のメリットは理解したけど、相手が悪いのに、相手が払わないなんてずるい!
相手は何も負担しないの?

いいえ、相手も負担はします。
あなたの保険会社が立て替えている状態なだけなので、後々、相手本人or相手保険会社からあなたの保険会社に支払ってもらいます(求償と言います)。
相手が得をするんじゃないかという心配は不要です!

保険会社ごとの「無過失事故特約」の名称

わかりにくいことに、保険会社によって特約の名称が異なります。また、今回ご紹介した車両無過失事故特約は、保険会社によってはつけることができません(商品が存在しません)。同じ役割の特約を表にまとめたので、ご加入の保険会社をご確認ください。

※2024.3.10時点。
 自動セット=車両保険に加入していれば自動的に無過失事故特約がセットされている、という意味。

まとめ

無過失特約とは、
あなたに責任のない事故なら、保険料が上がらずに車両保険を使える特約

無過失特約が使える条件
・追突、センターラインオーバー、赤信号無視、駐停車中など過失のない事故であること
・相手の情報が確認できること
・相手の車は自分所有の車ではないこと

無過失特約が役立つ場面
・相手に支払能力がない時
・相手の保険が使えない時
・相手保険会社から全損と言われた時

無過失特約を使っても、相手は得をしない

以上、無過失特約の解説でした!

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