今回は、完全に被害の事故だと思っていたのに、相手保険会社から「あなたにも過失が発生する」と言われた、という方向けです。
あなたにも過失割合が10%や20%発生する、などと言われたが、0%じゃなきゃ納得できない!ということなら、あなた自身の保険会社も交渉に入ってはくれないので、自分で交渉するしかありません。
あなたが相手保険会社とうまく交渉する方法をお伝えします。
最初の電話から意識してほしいこと
事故担当者と話をするときにやめた方がいいこと
・暴言を吐く
・大声で怒鳴る
・電話をいきなり切る
・電話を無視する
・脅す
・過大請求をする
上記のようなことがあると、事故担当者の姿勢が硬化します(徹底的に戦う姿勢になります)。
ご理解いただきたいのは、保険会社の事故担当者も「血の通った人間である」ということです。
へりくだって下手に出ろ、とは言いません。
ですが、最低限の礼儀は守ってほしいです。
自分の主張を通したいならば、優しさを持って事故担当者に接してあげてください。
そうすれば、優しさ(過失の修正)が返ってくる・・・かもしれません。
やること①相手保険会社が提示した割合が正しいかを確認する
9:1や8:2などと言われて納得できない!となったら、まずやってほしいことがこちら⇩。
「私に有利な割合の修正要素には何がありますか?」と聞いてみる
この質問は、あなたに有利な修正要素を相手保険会社が見逃していないかを確認するためにしてほしいです。
保険会社は、双方の事故の当事者から、事故状況を細かく聞き出します。
その上で、「判例タイムズ」という交通事故の裁判例をまとめた本から、最も似た事故状況の裁判例を選び、「基本の割合」と「割合の修正要素」を確認します。
基本の割合を基準に、修正要素に該当すれば10%など割合が変わる可能性があります
(例 8:2⇨10%被害者に有利に修正し9:1になる、など)。
ただ、事故状況の聞き方などによっては保険会社が修正要素を見逃してしまう可能性があるので、
まずは「割合の修正要素には何がありますか?」と聞いて、見逃しがないか確認すべきです。
やること②ドラレコを提出する
割合に納得いかない場合、ドラレコ映像があるならぜひ相手保険会社に提出しましょう。
「ドラレコを見てほしい」と言えば、映像の送り方を教えてもらえるはずです。
ドラレコが有効なのは
・事故状況の主張が食い違っている時
・自分や相手が「何かをしたorしなかった」ことを証明したい時
やること③見積・損害写真を提出する
損傷の状態から、過失割合を修正できるような事実を保険会社に探してもらうためです。
「見積と写真を送るので、損傷から過失割合を検討してほしい」と伝えましょう。
ただし、損傷から状況を推察するのは難しい、という結論になることも多いです。
見積・損害写真が有効なのは
・ドラレコがない時
・車の動く角度や速度について主張したい時
以上の3つを実行しても相手保険会社が割合変更を認めてくれない場合は、客観的情報からは割合修正する理由がない、ということになります。
下記をお試しください。
少しでも割合を低くするには?
判例タイムズの修正要素にも該当するものはなかった。
ドラレコや損害写真も提出したけど、やはり基本の割合が妥当らしい。
でも納得できない!少しだけでも譲ってもらうにはどうしたら・・・?
いよいよ最終手段です。
修正要素に該当しないなら、「基本の割合」から変えてもらえないことが多いでしょう。
それでも自分の割合を減らしたいという方は、うまくいくかは不明ですが、以下の方法を①⇨②の順にお試しください(①がダメなら②、という感じです)。
①片側賠償を提案してみる
②5%だけ譲ってほしい、と言ってみる
①片側賠償を提案してみる
片側賠償とは:「あなたの車の修理費×あなたの過失割合分」のみ、あなたが負担すること
言い換えれば、片側賠償とは「相手の修理費×あなたの過失割合分」はあなたは負担しない、ということです。
相手に対して賠償しなくていい、というのは被害側にとって気持ち的・金銭的の両面でメリットがあります。
例)基本割合 あなた:加害者=2:8
修理費 あなた:30万
相手 :50万
今回事故の総損害額は80万(修理費両方の合計)
基本割合2:8で示談した場合 あなたが負担するのは80万×20%=16万
片側賠償0:8で示談した場合 あなたが負担するのは30万×20%=6万
上記の例では片側場合にすることによって、10万円の支払いを回避できます。
相手保険への伝え方は、「片側賠償を検討してもらませんか?」でOKです。それで通じます。
②5%だけ譲ってほしい、と言ってみる
事故の過失割合の最小変更単位は5%
「5%だけ譲ってほしい」というのは、「最小単位でもいいから譲ってほしい」という比較的控えめな要求になります。
正直、基本割合が9:1のものを95:5にしてほしい、というのはなかなか厳しいです(元々ほとんど被害者側の割合がないからです)。
でも、基本割合が7:3のものを75:25にしてほしい、という要求は事故担当者として前向きに検討しやすいです。
それでも譲歩してもらえない時は
以下の可能性が考えられます。
・加害者本人が割合の変更に納得していない
・割合変更の余地が全くない
無理な時は本当に無理です。
裁判してもあなたの主張通りにならないことが予想されるから、保険会社も譲らない、ということです。
まとめ
初めから意識すること:
事故担当者に最低限の礼儀を持って接する
相手保険との交渉方法
①相手保険会社が提示した割合が正しいかを確認する
②ドラレコを提出する
③見積・損害写真を提出する
⇩
ダメ元で
①片側賠償を提案してみる
②5%だけ譲ってほしい、と言ってみる
保険会社が割合変更してくれない理由
・加害者本人が割合の変更に納得していない
・割合変更の余地が全くない
以上、相手保険会社との交渉方法の解説でした。