このページは100:0の事故の被害者向けです(追突の被害など)。
相手の保険会社からどのように言われたかによって、分けて解説します。
「修理が不可能な状態」と言われたら物理的全損、
「修理費が時価額を上回ってしまった」と言われたら経済的全損です。
全損について詳しく知りたい方はこちら⇩
相手の保険会社から「物理的全損」と言われた場合
物理的全損の場合、どう頑張っても修理ができないので、2パターンに分かれます。
①買替
②廃車
①買替
ほとんどの方が買替するかと思います。中古車購入はもちろん、新車購入の足しにしてもOKです。
【あなたが車両保険を契約していない場合】
⇨相手保険会社から時価額を受け取り、買替する。
【あなたが車両保険を契約している場合】
⇨自分の保険会社に連絡し、車両保険でいくらもらえるか、まず確認。
(無過失特約がついていれば、保険使用しても保険料は上がりません)
⇨車両保険でもらえる金額と相手保険会社からもらえる時価額を比較し、
高い方からもらい、買替する。
※車両保険を使用して保険料が上がる場合は、それも踏まえて検討する。
※二重受取りは不可。
②廃車
ごくまれですが、もともと廃車する予定だったので買替しなくていい、という場合は時価額を受け取って廃車し、もらったお金は好きなように使ってOKです。
廃車する場合も、自分の車両保険ならいくら払ってもらえるか聞くのをおすすめします。
相手の保険会社から「経済的全損」と言われた場合
経済的全損の場合、5パターンに分かれます。
①買替
②相手の対物超過特約で修理
③自分の保険でor自腹を切って修理
④廃車
⑤お金だけ受け取り何もしない
①買替
事故に遭った車を運転するのは不安、近い将来で買替えを考えていた、という人におすすめの選択肢です。
【あなたが車両保険を契約していない場合】
⇨相手保険会社から時価額を受け取り、買替する。
【あなたが車両保険を契約している場合】
⇨自分の保険会社に連絡し、車両保険でいくらもらえるか、まず確認。
(無過失特約がついていれば、保険使用しても保険料は上がりません)
⇨車両保険でもらえる金額と相手保険会社からもらえる時価額を比較し、
高い方からもらい、買替する。
※車両保険を使用して保険料が上がる場合は、それも踏まえて検討する。
※二重受取りは不可。
②相手の対物超過特約で修理
愛着のある車で、自己負担なく修理したいという人におすすめの選択肢です。
ただし全損になっても自己負担なく相手側に修理してもらうためには、下記の条件を両方とも満たす必要があります。
条件さえ満たしていれば、修理費全額、相手保険会社側の負担で修理してもらえます。
全損でも修理可能となる条件
(1)あなたの車の修理費が、「相手保険会社が算定した時価額+50万円(※)」以内
(2)相手の契約に対物超過特約がついており、相手が対物超過特約の使用を許可している
※50万円であることが多いですが、相手の契約内容によって異なります。
例)
修理費80万、時価額50万
⇨時価額+50万=100万位内に収まるため、条件を満たし修理可能
修理費120万、時価額50万
⇨時価額+50万=100万位内に収まらないため、条件を満たさず修理不可
③自分の保険でor自腹を切って修理
どうしても修理をしたい、でも対物超過の条件は満たさなかった・・・という方におすすめです。
(1)自分の保険で修理
相手保険から見て全損でも、あなたの車両保険で見たら分損になる可能性があります。
車両保険で分損なら問題なく修理できます。無過失特約がついていれば保険料も上がりません。
一度自分の保険会社に相談してみましょう。
また、車両超過特約をもしつけていたら、出番かもしれません。
(2)自腹を切って修理
最終手段です。相手が悪い事故なのでできれば自腹は切りたくないところですが、それでも修理したいのなら自腹を切るしかありません。
修理するために足りない金額部分を自己負担することになります。
④廃車
ごくまれですが、もともと廃車する予定だったので修理も買替もしなくていい、という場合は時価額を受け取って廃車し、もらったお金は好きなように使ってOKです。
廃車する場合も、自分の車両保険ならいくら払ってもらえるか聞くのをおすすめします。
⑤お金だけ受け取り何もしない
比較的損傷が少ない、自走が問題なくできる、傷があっても気にならないといった方におすすめです。
お金だけ受け取り何もしない、とは、時価額を受け取って、修理・買替・廃車のどれも行わず、そのまま傷のついた車に乗り続けるということです。
もらったお金は好きなように使ってOKです。
対物超過特約を使って買替できる?
「対物超過特約を適用して『時価額+50万』を受け取って、買替えしたらお得なのでは?」
と思う人もいるかもしれません・・・が。
実は、それはできないんです。
対物超過特約は修理の場合のみ適用できるのです。
対物賠償保険で補償する事故で、相手方の車に時価額を超える修理費用が発生したときの補償です。
対物超過特約-チューリッヒ
※事故日の翌日から起算して6ヵ月以内に相手自動車が実際に修理されたときに限ります。
対物超過特約を適用した場合、相手の保険会社は、修理の過程を最後まで見届けるので、誤魔化すことも不可能です。
買替と修理、どっちがお得?
個人的には、どちらがお得とも言えない、と思っています。
「対物超過特約を使って修理した時」と、「時価額をもらって買替した時」では、最大50万円、相手保険会社が負担する金額が違います。
でも、「修理した」のと、「時価額を受け取り中古車を購入した」のと、どちらも同等程度の車にまた乗れるようになった、という意味では同じなのです。
ただ、もし私自身が同じ被害の立場になったら下記のように判断すると思います。
・10年近く同じ車に乗っていて、まだしばらく車に乗りたい
⇨買替。時価額を購入の足しにしたいため
・10年近く同じ車に乗っていて、今の車で最後の予定だった
⇨修理or中古車に買替。長く乗らないので新車にはしない
・愛着のある車で、動かなくなるまで乗り潰したい
⇨修理
・新車で買ったばかりなのに大破して全損
⇨新車に買替。時価額も高いため十分新車購入の足しになる
今の車の年式や、あと何年車に乗りたいか、といったそれぞれの事情をもとに決断するのが一番いいと思います。
まとめ
物理的全損の時の選択肢
①買替
②廃車
経済的全損の時の選択肢
①買替
②相手の対物超過特約で修理
③自分の保険でor自腹を切って修理
④廃車
⑤お金だけ受け取り何もしない
・対物超過特約は修理したい時のみ適用できる
・買替と修理、どちらかがお得ということはない
以上、100対0の被害者が全損と言われた時、どのような選択肢があるかの解説でした。